こんにちは。山クジラ(@yama_kujira)です。
今回、初めて「止めさし」の現場に立ち会いました。
止めさしとは
わなに掛かった鳥獣の止めをさすこと。言うは簡単ですが、気を付けなければいけない事が数多くあります。事実、止めさしの際、鳥獣に反撃されると言った事故も年に数件起きています。
ちなみに先輩猟師さんは主に「くくりわな」を使っています。他に「はこわな、はこおとし、かこいわな」があります。子供の頃、近所の畑で「とらばさみあり」と言った看板を見かけましたが、現在とらばさみの使用は禁止されています。
さかのぼること数日
先輩猟師さんのわなに「小さめのイノシシが掛かった」と連絡を頂きました。いつもイノシシやシカがわなに掛かると解体に参加できる人の募集があり、参加した人で肉をシェアしています。
今年に入ってからイノシシ、シカの解体は何度か体験しましたが、いつも内臓の下処理済みの状態でした。今回、タイミング的に止めさしに同行できそうだったので、さし止めの場に同行させていただきました。
待ち合わせ場所で先輩猟師さんと合流。この時こっそり先輩の足元を確認するとサンダルだったので、私もスニーカーを選択しました。(山歩きになっても大丈夫なようにスパイク地下は準備していました)
軽トラに乗り換え、いざ目的地へ。
イノシシがいない!!
目的地に着いて、わなを確認すると「イノシシがいない!」というか、わなが無い。逃げられた可能性も頭に入れつつ慎重に辺りを確認しましたが、やはりイノシシの姿は見つけられませんでした。気を取り直して別のわなを確認するとシカが掛かっています。
見つけられました?ちょっとわかりづらいですが、赤丸のところです。
(後日談ですが、わなを見回った方の見間違えか、伝言ゲームの間違えか、もともとシカだったようです)
わなに掛かったシカは人を見ると逃げようとします。(イノシシは逆で人に向かってくるそうです)
先日の「認定鳥獣捕獲~」の講習会や愛読書「山賊ダイアリー」、YouTubeなどでは散弾銃(または電気)を使って止めさしを行っていたので、今回も散弾銃を使うのだろうと思っていましたが、先輩は銃を持たずにシカの近くまで下りて行きます。そして、逃げようとするシカを素手で押さえつけ、シカの目にグルグルとガムテープを巻きつけました。先輩の話では視界を奪われた鳥獣はおとなしくなるそうです。
押さえつけられた際、悲しそうな鳴き声を出し、ガムテープを巻かれた姿に何とも言えない気持ちになりました。
放血(血抜き)
捕えたシカを軽トラに乗せ適当な場所でシカを吊るします。バンジージャンプ?状態になったところで首元を切り放血させます。
待つこと30分程、しっかり血抜きを行いました。「ジビエ料理=臭い」というネガティブなイメージが先行していますが、しっかり血抜きができた肉に臭みはありません。
止めさしに正解は無い?
銃または電気を使って止めさしを行えば、鳥獣を苦しませることなく絶命させることができ、止めさし時の反撃リスクを減らすこともできると思います。駆除して処分するだけであればそれも正解かも知れません。
捕獲された獲物はそのほとんど(おおよそ9割と言われます)は焼却処分されるという現実があります。私が所属する猟友会の先輩方は「自然の恵みを大切にいただく」ため、捕獲した鳥獣は出来る限り自家消費します。
十分な血抜きができていないと肉質が落ちます。であるならば、残酷に思えるかも知れませんが心臓が動いている状態で放血できれば、臭みもなく、捨てる部分を最小限に抑え、おいしくいただくことができます。
捕獲した鳥獣をその後どうするか?によって止めさしの方法も選択すれば良い。
狩猟の奥深さを感じた貴重な一日になりました。